3/08/2010

森が海を育てる

海が育つためには何が必要でしょうか?

食物連鎖で「生産者」と呼ばれる光合成によって育つ海藻・海草が必要です。そのため に陸上の植物と同じようにリンや窒素が必要で、これらがないと、生産者は成長できません。しかし、これだけではたらず、鉄が必要になります。それも、生産 者が体内に取り込める鉄です。この鉄は生産者の体内でリンや窒素を吸収するために使われるので、まずは鉄がないと先へはすすめません。植物にとって必要不 可欠の物質です。

鉄が酸化鉄になってしまうと、生物の身体は取り入れることができません。鉄イオンの状態でないと吸収ができない のです。では、鉄イオンはどこに存在するでしょうか?三宅島の温泉は出てきた時は透明ですが、しばらくすると赤茶色に変色します。これは、地中の水に溶け た鉄イオンが空気中の酸素に触れて、酸化鉄になった証拠です。

逆に言うと、酸素がないところで鉄イオンができます。腐葉土の奥深くでは、葉に覆われて酸素がいきわたらないところがあります。そこで、鉄イオンができます。これが川に流れても酸化鉄になってしまうのですが、森では違う物質が作用します。

腐 葉土で、落ち葉などがバクテリア(分解者)などに分解されて、ほとんど水と二酸化炭素になりますが、一部、有機物が残ります。この有機物が色々なものと反 応、作用して、フルボ酸(水に溶ける)ができます。このフルボ酸と鉄が結びついてフルボ酸鉄ができます。こうなると水にとけますが、酸化鉄になることはあ りません。

このフルボ酸鉄が川から海に流れ込み、植物性プランクトンやわかめ、昆布などに吸収され、初めて海での生産が行われます。

これが、「森が海を育てる」ということですね。

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